当院院長が専門とする分野は「内分泌疾患」です。
糖尿病、副腎疾患、甲状腺疾患などでお悩みの方は是非ご相談ください。
他院で受診中の症例でも、セカンドオピニオン、二次診療を積極的にお受けしております。
内分泌疾患は日々進歩しており、最新の診断法や治療薬を選択することが重要で、専門知識のある獣医師が適切な検査、治療を行う必要があります。
糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの完全または不完全な不足、または体のインスリンに対する感受性(効果や作用)の低下が原因で、血液中の糖分が過剰に上昇して尿に糖が排泄される病気です。
人の糖尿病(U型)は、肥満や飲酒などの生活習慣病が代表になっていますが、実は猫の糖尿病も人の糖尿病と非常に類似し、多くの場合「肥満」が原因のU型糖尿病です。
猫の糖尿病は、適切な初期治療(インスリン療法と高蛋白食の併用)によって、治癒(インスリン療法をしなくて済む状態になる)する可能性もあります。一方、犬の糖尿病はそのほとんどがT型糖尿病で、遺伝的な素因や免疫異常が原因になるため、一度糖尿病になると、一生インスリンの注射を続ける必要があります。このように、犬と猫では糖尿病の成り立ちが異なるため、治療方法も大きく異なり、専門医が最適な治療法を検討する必要があるのです。
糖尿病の診断は、持続的な空腹時の高血糖と尿糖を証明することで確定しますので比較的簡単ですが、猫は動物病院で興奮すると簡単に血糖値が200mg/dl以上に上昇してしまうため、慎重な評価が必要です。
血清フルクトサミンや糖化ヘモグロビン濃度の測定を併用することで診断精度が上昇します。
糖尿病の治療は、インスリン療法と食事コントロールが主体になります。人のように血糖降下剤を使用することはあまりありません。犬と猫では治療に用いられるインスリンの種類が異なり、その治療法や食療法も異なりますので、治療法の選択は専門知識のある動物病院で受けることをお勧めします。
弁疾患肺高血圧症
「副腎皮質機能亢進症」はクッシング症候群あるいはクッシング病などとも呼ばれる、副腎皮質ホルモンの過剰が原因で起こる内分泌疾患です。副腎皮質機能亢進症(HAC)は脳下垂体に腫瘍が出来て過剰な副腎皮質刺激ホルモンが分泌されて起こる、下垂体性クッシング(PDH)と副腎皮質に腫瘍が出来て過剰な副腎皮質ホルモンが分泌する副腎腫瘍性(AT)に大別されます。人(10万人に1人)や猫では非常に稀な病気ですが、犬は非常に高率に発症し、米国の統計では年間10万頭ものHACが発生しています。
HACは、多飲、多尿、多食、腹部の膨大(ビール腹)、全身の脱毛(脚先は残る)、皮膚石灰沈着、免疫不全、高血圧症など特徴的な様々な臨床症状を伴います。適切な臨床症状と、副腎皮質機能検査(ACTH刺激試験または低用量デキサメサゾン抑制試験)、画像検査(レントゲン、超音波、CT、MRなど)によって診断をします。
治療法は、内服薬(ミトタンまたはトリロスタン)による治療法と、副腎または下垂体を外科的に摘出する治療法が行われています。ただし、外科療法は高度な医療技術が要求されます。適切な治療を行うと長期生存も可能ですが、放置すると全身性疾患に発展して死亡します。
副腎皮質機能低下症はアジソン病とも呼ばれ、副腎皮質が自己免疫などにより破壊され副腎皮質ホルモン(グルココルチコイドとミネラルコルチコイド)の分泌が不足し、全身倦怠感、低血圧症、低ナトリウム血症、高カリウム血症などの症状が現れる。ただし、臨床症状が非特異的であるため、アジソン病の診断には多少の専門知識が必要になります。この病気は、放置すると突然の発作(急性副腎クリーゼまたは粘液水腫性昏睡)を起こし、適切な治療を即座に行わないと死に至ります。
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甲状腺は頸部に一対存在する豆粒ほどの小さな内分泌臓器で、人は蝶々の形で左右が繋がっていますが、犬や猫は左右独立して存在します。甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、体の様々な代謝を活発にするための「触媒」のような働きを持つ大変重要なホルモンで、このホルモンが欠乏すると、肥満、倦怠感、運動不耐性(運動を嫌がる)、左右対称性の脱毛、皮膚の色素沈着、高コレステロール血症、貧血などの臨床症状を示します。
この病気の診断は、上記のような臨床症状とともに、甲状腺ホルモン検査を実施して行われます。犬の場合には、総血清サイロキシン(T4)、遊離サイロキシン(fT4)、甲状腺刺激ホルモン(cTSH)を測定することで行われます。T4濃度は様々な病的状態(甲状腺以外の)で正常値以下に低下することがしばしばあるので、確定診断や治療を開始する場合にはT4濃度だけでなく、fT4とcTHSも測定することが望まれます。
甲状腺機能低下症の治療は、診断が確定したら、合成甲状腺ホルモン(チラージンまたはSOLOXINE)を内服します。
適切の用量が確立するまでは度々T4濃度の測定を行いますが、用量が安定したら、3-4カ月に一度の定期検診程度で比較的良好にコントロールが可能で、適切な治療を行えば健康な犬と同様の寿命を全うすることができるはずです。
猫の甲状腺機能亢進症は、甲状腺に良性の腺腫が形成され過剰な甲状腺ホルモンが分泌されることにより、様々な臨床症状を示す疾患です。この病気は普通10歳以上の猫にかなり高率に発症し、徐々に症状が進行してゆく内分泌疾患です。
典型的な臨床症状は、「食欲が旺盛なのに痩せてくる」、夜ギャーギャー鳴いたり、うろうろ動き回る、性格がきつくなるなど、飼い主が病気と気付きにくい不特定な症状であるため、診断されるのは定期健康診断で偶発的に発見されることが比較的よくあります。つまり、10歳以上の猫は、必ず甲状腺を含めた定期健康診断をする必要があります。一般血液検査では、肝臓酵素(GOT、GPTなど)の上昇、心臓の肥大、頻拍、高血圧症なが併発疾患としてしばしば認められます。
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診断は、年齢や臨床症状とともに、総血清サイロキシン(T4)と遊離T4(fT4)の測定で行います。T4単独でもT4濃度が6.0μg/dl以上なら確定診断しても問題はありませんが、T4が4.0μg/dl以下の場合で、この病気を疑う場合には、fT4を含めて総合診断が必要です。
甲状腺機能亢進症の治療は、抗甲状腺薬(チアマゾール、Methimazole)を内服する方法が主流ですが、外科的に摘出方法もあります。米国では放射性同位元素による治療が主流になっていますが、日本ではできません。猫の甲状腺機能亢進症は、心臓や腎臓、高血圧症など様々な併発疾患を抱えていることが多いため、甲状腺だけでなく総合的な治療が要求される疾患で、内科的専門知識を総動員して治療に当たる必要があります。
下痢や消化器症状が3週間以上継続する場合は慢性胃腸炎あるいは炎症性腸疾患(IBD)と呼び、一般の下痢とは異なり適切な検査と治療が必要になります。
IBDの確定診断は、内視鏡や開腹手術によって消化管のバイオプシー検査が必要になることがあります。当院では、人の鼻から挿入できるタイプの極細の内視鏡(フジノン5.3mm径)を導入して、ワンちゃんやネコちゃんの十二指腸から空腸上部までの生検を開腹しないで実施可能な内視鏡を導入しております。
IBDは消化管内に存在する細菌が過剰に増殖したり、その最近に対して過剰な免疫反応が消化管内で起こることが主な原因として考えられているため、多くの場合「免疫抑制」効果のある薬剤(グルココルチコイドなど)を使用します。このような薬物と同時に「食事療法」も重要な治療要素になるため、獣医師の指導に従って適切な食事療法を行う必要があります。
特に、消化管粘膜にあるリンパ管が拡張した「リンパ管拡張症」は体に重要な蛋白質が重度に失われる傾向があり、適切な総合治療が必要になります。
膵臓は、膵外分泌と膵内分泌の二つの機能を併せ持った臓器です。膵外分泌は消化酵素の分泌を行い、膵内分泌は血糖値をコントロールするためのインスリンを分泌します。当院の内科診療は内分泌を得意としていますが、関連した膵炎や消化器疾患の検査や治療も得意分野としております。犬の急性膵炎の原因は、「高脂肪食」が引き金になることが知られ、診断は比較的容易ですが、猫の膵炎は90%が「慢性膵炎」で、膵リパーゼ特異的免疫活性(fPLI)などの新しい検査法を実施する必要があり、さらに、併発する可能性のある炎症性腸疾患、胆管肝炎などの確認も必要になります。
当院は内科専門ではなく、内科が得意な動物病院で、院長はミニチュア・ダックスが大好きであるため、ダックスに多い椎間板ヘルニアの手術も大の得意分野です。既に100例以上のヘルニア手術実績と95%以上の成功率を誇っております。
また、頸椎ヘルニアは手術難度が高いのですが、こちらも高い施行実績があります。当院では、戸塚区の保田動物病院と連帯して、迅速にCT、MRI検査を行っています。CT・MRI検査が必要な症例では、早ければ当日、翌日に優先的に検査が行えます。
当院は、「東洋装具社」と技術提供して、動物のためのオーダーメードの装具を各種疾患治療に応用しています。
椎間板ヘルニアの術後管理、椎間板ヘルニアの内科療法にはコルセットの適用が非常に効果的ですが、既製品のコルセットでは適切な病変部の固定がうまくできません。当院では、人の装具の技術認定を受けている「東洋装具社」にオーダーメードの装具を症例ごとに特注して、非常に良好な治療効果を実現しています。
椎間板疾患以外にも、従来なら外科手術が必要であった「十字靱帯断裂」、「頸椎不安定症」、「骨折手術後の癒合不全」などの症例に威力を発揮しております。
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