Welcome to Yamamoto memorial Hospital
消化器外科(山元 章生)
肝臓、胆嚢、膵臓や胃から大腸までの疾患を扱っています。特に電子スコープを使用した胃、十二指腸、大腸の内視鏡には力を入れており、1992年から始めた腹腔鏡による腹腔鏡下胆嚢摘出術、大腸、ヘルニアの手術を発展させ、更にお腹を開けない消化器外科を目指しています。
[胆石とは・歴史・胆嚢の働き・胆石の原因・検査法・治療法(外科的・溶かす方法・バスケットよる結石除去)・治療方針・参考文献・MRCP・98年スペイン学会・99 ISW ウィーン・インターネット質問集]
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胆石の原因 |
胆石を持っている人は何人くらいいるでしょう?今や超音波診断装置(エコ−)の発達により症状の全くない胆石の人までどんどん増えてきました(無症状胆石)。 日本では、第2次世界大戦以前は、ビリルビンカルシウム石が非常に多かったのですが、戦後は食生活の西洋化に伴い、即ち脂肪製品、チョコレ−ト、チ−ズ等の多量摂取によりコレステロ−ル系の結石が増加し胆嚢結石の70%以上はこのコレステロ−ル結石であります。しかし最近ではこの2種類の他に黒色石の増加が目立っています。コレステロ−ル結石の形成機序は胆汁成分中のコレステロ−ルが析出してコレステロ−ル結石となります。どんな人が胆石になりやすいかという事ですが、欧米では4Fといってfemale(女性)、forty(40歳代) 、fat(肥った)、fecund(多産の)といわれるぐらい女性に多い病気です。人種でも違います。アメリカインヂアンのある部族では20歳になったら全員胆石を保有する部族がある一方でアフリカのマサイ族には全く胆石の保有者はおりません。日本人も10人に一人が胆石を保有しているといわれていますが、スウエ−デンなどの北欧諸国では5人に1人から2人に1人と更に増加の傾向にありますがこれも食生活に因るところが多いと思います。しかし内科の先生の中には、コレステロ−ルの石ができるということは、動脈硬化、心臓病、高血圧症とも深い関係があり胆嚢結石は全身疾患の1つであって、ただ単に胆石だけ治療しても根本的な解決にはならないのだという意見もあり尊重すべき考えだと思います。 |
胆石を調べる方法 | |
1.超音波診断法 2.胆嚢造影法 間接胆道造影法 経口法 DIC(点滴静注法) 直接胆道造影法 PTC(経皮経肝胆管造影) ERCP(逆行性内視鏡的膵胆管造影) 3.腹部単純撮影 4.X線−CT 5. あなたのstomacheがグーグー鳴る時、それは何ですかMRCP 6.血液検査 これらの検査をうける際は、朝食を抜きですることが原則です。 | |
1.超音波診断法(エコー) | |
過去10年間に胆石の診断体系はめざましい発展をとげてきましたが、その原動力になったのがこの装置です。漁船が積んでいる魚群探知機と同じ原理で体の調べたい部位の皮膚面にジェリ−を塗布し探触子という超音波をだす機械を当てて魚の群れを探すように、体の病巣を探すわけです。産婦人科では胎児診断に、外科では胆石を始め胆嚢や肝臓、膵臓の腫瘍の発見に重要な働きをします。胆石に関しては、超音波による診断率は90%以上で、このことが症状のない胆石(無症状胆石)の発見につながり、複雑な問題となってきました。 | |
2.胆嚢造影法 | |
ヨ−ド剤を使用して行なう検査法ですからアレルギ−体質の人は前もって医師にお話しください。この経口法や点滴静注法で胆石の診断のできる確立は65%程度です。というのは黄疸がある場合や結石が胆嚢管や胆管につまった(嵌頓)場合はこの検査法は全く役にたちません。胆石溶解剤を使用する際には、この検査法を行ない胆嚢を収縮させる薬剤を注射するか卵黄を飲むことによって胆嚢が収縮するかどうかを調べる必要があります。収縮する胆嚢を機能胆嚢、しない胆嚢を無機能胆嚢といいますが無機能胆嚢に胆石溶解剤の投与は無意味だとされています。 経口法や点滴静注法で胆石が不明とか黄疸のある場合等に直接胆道造影法であるPTC(経皮経肝胆管造影)やERCP(逆行性内視鏡的膵胆管造影)を行ないます。これ� �は診断に限らず治療まで応用することができPTCは直接胆石溶解療法をERCPは内視鏡的胆管結石除去術(図)へと応用されます。 |
4.X線−CT:三次元CT | |
体をレントゲンで輪切りにしコンピュ−タ−で再構成して描写する検査法で肝臓、膵臓など管腔がない臓器の病気の発見に努めます(胃や腸は管空臓器)。この検査法で胆石の性状を知ることが出来ます。カルシウム結石だと骨と同じようにみえ、コレステロ−ルだと脂肪と同じように見えるところからこの検査法で結石が溶けるかどうかの判断をします。 また、左図のように最近の3D-CTでは胆嚢や胆管が三次元の立体像としてはっきり捉えられることから手術前の解剖の把握に重要な働きをしています。 テルミンを取ってからの副作用は何ですか | |
5.MRCP 98/06/01から新しい診断法がやって来ました。 | |
6.血液検査 | |
GOT、GPTの話を少しします。よく肝機能検査と耳にすることがあると思いますがその中でGOT、GPTがどうだ、こうだとお話しが出ますがこれは肝細胞の障害を示す数字で肝細胞が死んでいくときに比例して上昇するものだと覚えて下さい。正常値は30以下です。もし100前後の場合は肝臓が悪く肝臓の検査及び治療を受けなければなりません。肝機能検査ではGOT、GPTに注意するようにしてください。 |
胆嚢結石治療法の変遷 |
1878 胆嚢切開 Kocher 1882 胆嚢摘出術 Langenbuch(ドイツ) 1924 十二指腸ゾンデ法 松尾巌 胆嚢摘出術 三宅速 1972 経口胆汁酸療法 Danzinger(アメリカ) 1985 直接胆石溶解療法 Thisle(アメリカ) 五十君、山元 (当院) 1985 ショック・ウェーブ Sauerbruch(ドイツ) 1987 腹腔鏡下胆嚢摘出術 Mouret(フランス) 外科的方法−1. 開腹下胆嚢摘出術 2. 腹腔鏡下胆嚢摘出術 内科的方法−1. 経口胆石溶解療法 2. 直接胆石溶解療法3.内視鏡的砕石術 4.ショック−ウエ−ブ |
A.外科的方法 | |
前にも話したように胆嚢を胆石と共に摘出する方法で100年来実施されてきた方法です。胆石の手術をしたという人は胆嚢を摘出されているのが一般的です。胆嚢はなくてもいいのかとなると、難しい問題ですが一般には胆嚢のない動物もいるから必要が無いのだと説明されることが多いようです。受ける側からいうと手術せずになおりたい気持ちで一杯ですが、絶対に手術を受けなければならない状態があります(絶対適応)。 それは1.胆汁性腹膜炎 2.萎縮胆嚢の場合です。胆汁性腹膜炎をほおっておくと敗血症になりますし萎縮胆嚢の場合は癌との区別が非常につけにくいことから絶対に手術をしなければなりません。 腹腔鏡下胆嚢摘出術については1987年フランスの開業医、Mouretがテレビにモニターされた� �腔鏡像を見ながら胆嚢摘出術を行なったのをきっかけに、フランス、アメリカを中心に爆発的に腹腔鏡下胆嚢摘出術が普及し今までの開腹下胆嚢摘出術に完全に取って変わりました。1993年5月に中国・西安で開催された第2回日中肝胆膵シンポジュウムに参加した折、ロシアに近いトルファンや西安でも年間1000例の腹腔鏡下胆嚢摘出術が実施されているのを知り驚いた次第で世界中で広く実施されています。 本邦でも1990年来、盛んに行なわれ今や胆嚢結石症治療の定型的な方法として確立されており、当院でも1991年10月から腹腔鏡下胆嚢摘出術を行ってきました。 |
当院の硬膜外麻酔のみによる理想的な腹腔鏡下胆嚢摘出術について -------気管に管を入れない、鼻から管を入れない、膀胱に管をいれない---- | |
硬膜外麻酔の利点 | |
硬膜外麻酔の利点としては肺や心臓の合併症を持っている患者さんにも安全に手術が行えることでしょう。お腹の中の圧(気腹圧)も一般的に行われている10-15mmHgという圧ではなく4〜5mmHgという低圧で行えそれだけに安全だという特徴を持っています。 目的:いままでの胆石症の手術と違いお腹を切らずに、腹腔鏡を使って胆石症、胆嚢ポリープなどの胆嚢を摘出するものです。 方法:手術室で硬膜外麻酔(ほとんどの他の施設は全身麻酔)で行います。腹腔鏡やその他の操作のため、5mmないし10mmの小さな穴を4ケ所お腹にあけます。お腹のなかにガス(CO2:3〜5リットル)入れ、お臍の下にあけた穴を通して腹腔鏡を入れ、胆嚢の様子をテレビにモニターします。これを見ながら手術を行います。胆嚢は特殊な細いハサミやク� ��ップを用い、総胆管から切り離します。肝臓との剥離には電気メスを使って安全に行います。また、胆管のX線写真を撮って安全を確かめます。取り除かれた胆嚢は小さな穴から取り出します。経過が順調ならば、その日の夕方には食事がとれ、一週間以内に退院できます。 注意点:すべての胆嚢結石症に行なえるわけではありません。炎症の強い胆嚢や、周りの組織との癒着がひどい場合には、危険ですから普通の手術に切り替えます。この手術は新しく開発された胆嚢摘出術ですが、欧米の報告では今までのほとんどの症例で適応できると言われています。この手技の特徴は開腹しないため、入院期間が短縮できること、患者さんにとって身体的負担の少ないことが最大の利点ですが、傷が小さいため美容上からも、また術後の� ��の癒着防止にも大変良いようです。 ★入院期間は長くて1週間程度、アメリカではDay Surgery;日帰り手術として一般化してきました。 当院では本法の特徴として硬膜外麻酔(ほとんどの施設が全身麻酔)で行っているために術後の疼痛比較で痛み止めの使用頻度で全身麻酔の場合32例中11例(34%)に、硬膜外麻酔の場合34例中1例(3%)に痛み止め使用が見られ明かに硬膜外麻酔により患者さんの苦痛がないことが証明されております。この研究後は全て腹腔鏡による手術は硬膜外麻酔により行ってきました。 | |
各手術術式の違いで痛み止めの使用頻度を比較してみたら、不思議なことに盲腸の手術が最も術後に痛みがあることが分りました。 |
2.直接胆石溶解療法 | |||
1890年代からエ−テルやクロロホルムを使って胆石を溶かそうという試みがなされてきましたが、肝臓障害や骨髄障害などの副作用のために中止されました。米国ではメイヨウ−クリニックでCapmal8210(中性脂肪から構成さる)という溶解剤が使用され、最近までMTBEというエ−テルの一種が盛んに直接胆石溶解剤として胆嚢結石の患者に使われています。MTBEと同時期に元福岡大学の五十君によりGS−100というリモネン製剤の直接溶解剤が開発され当院でその治療法が確立されてきました。MTBEはあくまでもエ−テルの一種で強い副作用があるのに反しGS−100はみかんの成分という自然のものであることから副作用が少なく今後期待されている治療法と言えます。これらの薬剤の使用できる結 石の条件は、 1.コレステロ−ル結石 純粋な結石でなくともよい | |||
3.内視鏡的砕石術 | |||
4.ショック−ウエ−ブ(ESWL) | |||
盛んにマスコミに登場するために外来の患者さんの中には何でもかんでも石を壊すというふうに理解されている方がいますのでその概要をお話しします。この機械は1969年西ドイツで研究が始まり1980年から腎結石の破砕装置として臨床応用が開始され、続いて1985年から胆嚢胆石破壊装置として胆嚢結石に1987年から日本でも数ケ所の施設で実施されるようになりました。しかしこの治療法にも厳しい基準があります。一般的には 1.機能胆嚢であること 2.直径30mm以内の結石 3.結石が3個以内4.胆管結石がないこと 5.結石の石灰化がないこと | |||
胆嚢結石の治療方針 | |||
当院での治療方針について話します。胆石の患者さんが外来を訪れ、まず行なうことは超音波検査法です。その際胆嚢炎のひどい場合は、超音波を使って経皮的胆嚢ドレナ−ジを行ない炎症がとれるのを待ちます。(以前は開腹して胆嚢外瘻)。炎症が無い患者さんは、CTを行ない石灰化があった場合は60歳代までに手術、これも今まで話したように開腹による手術に変わり腹腔鏡下胆嚢摘出術が主流となり患者さんに受け入れやすい方法となりました。また石灰化が無くコレステロ−ル結石が考えられる場合は治療せずに経過を追っていくか経口胆石溶解療法を勧めてきました。外科医はすぐに胆石があると胆嚢癌になりやすいという話から手術を勧めますが胆石を持った人が胆嚢癌になる率は非常に少ないと言われています。逆 に胆嚢癌の人は80−90%は胆石を持っているのは事実です。そこで無症状胆石を持っている人は定期的に超音波検査をする必要があります。 私の学会での発表をもとに私見を述べてきましたが、胆石の成因がいまだ不明である以上その解明に臨床家として更に情熱を燃す一方、外科医ながらも非手術的に胆石症の治療がどこまで可能であるかその一見矛盾した命題にも挑戦したいものだと考えています。 第16回国際消化器外科学会(マドリード) | |||
胆嚢管の異常が見事にでています。左図がSSD像で右がMIP像です。A.では胆嚢管が右の副肝管からでていますし、B.では右の肝管からでています。これをワークステーション上で立体として描出されます。 Cでは副肝管と胆嚢管との位置が非常に近い関係にあり手術の時は要注意です。 このように、手術前に解剖が簡単にイメージングできることが手術の安全性を約束できます。 胆管内の結石も輪切りにした像で2mmほどの結石像が描出されています。MIP像やERCP像では描出されていません。 | |||
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