夜間血圧が下がらない人、あるいは逆に血圧が上昇する人(早朝高血圧)がいます。また、朝起床時に血圧が急激に上昇する人がいます。これをモーニングサージと呼びます。
このような早朝高血圧あるいはモーニングサージを示す人は心血管事故のリスクが高いことが報告されています。
通常の臓器障害のない若年者・中年者は診察室血圧で130/85未満、高齢者は140/90未満とされています。
糖尿病、慢性腎臓病(CKD、)心筋梗塞後の患者はよりリスクが高いことが報告されており、より厳しい130/80未満が設定されています。
メトホルミン"減量"
対象者 | 診察室血圧 | 家庭血圧 |
若年者・中年者 | 130/85mmHg未満 | 125/80mmHg未満 |
高齢者 | 140/90mmHg未満 | 135/85mmHg未満 |
糖尿病患者 慢性腎臓病患者 心筋梗塞後患者 | 130/80mmHg未満 | 125/75mmHg未満 |
脳血管障害患者 | 140/90mmHg未満 | 135/85mmHg未満 |
その中でも日本人にとってもっとも問題になるのは脳梗塞に代表される脳卒中です。脳卒中は日本人の寝たきりになる原因の第一位と言われています。
久山町の研究でも診察室血圧が140/90以上の人が脳卒中になり易いと言うことが証明されています。
関節炎関節炎関節炎の痛みの痛みの痛み
高血圧の治療は脳卒中を予防し、寝たきりになる人を少なくするためと言っても過言ではありません。
血圧別にみた脳卒中発症率(久山町研究)JSH2009
高血圧の程度(ステージ)と次のような危険因子の数、組み合わせで危険度が分類され降圧療法の方針が決定されます。
糖尿病、慢性腎臓病、心血管病のある人は高リスクであり、高血圧があれば直ちに降圧治療が必要です。
危険因子の全くないT度の高血圧(140/90以上)の人でも最大3ヶ月間生活習慣の修正を試みて、改善しなければ薬物治療の必要が有ります。
うつ病とオルト·エブラ
高齢(65才以上) |
喫煙 |
脂質異常症 低HDLコレステロール血症(<40mg/dl) 高LDLコレステロール血症(≧140mg/dl) 高トリグリセライド(中性脂肪)血症(≧150mg/dl) |
肥満 |
メタボリック症候群 |
若年(50才未満)発症の心血管病の家族歴 |
糖尿病 |
生活習慣の改善で大幅に改善する人がいます。
しかし、大半の人は実行困難で、多くは薬物療法と生活習慣の修正を併用するのが現実的です。
塩分の多い食事に注意する必要が有ります。
しかし、積極的に塩分制限をしていると自覚している人でも、実際は一日1g程度の制限しかしていないと言われています。
一日6g以下は現実的には困難で、実際的には一日10g以下を目指すのがよいでしょう。
具体的にはカルシウム、マグネシウム、カリウム、食物繊維を含む食事を取ると血圧が下がると言うことが証明されています。
また、魚類に多く含まれる不飽和脂肪酸の多い魚油を多く摂る人は血圧が低いという結果が報告されており、魚油の摂取が高血圧患者に降圧効果をもたらす事が示されています。
体格指数(BMI)が25以上が肥満で、これ以下になるよう努力する必要が有りますが、4〜5kgの減量で降圧の効果が実証されており、とりあえず5kgの減量を目指すのがよいでしょう。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
脈がやや速くなる程度のウォーキングが推奨されており、一日30分くらい行うと良いでしょう。
また、運動により体内の体脂肪(内臓脂肪)が減少し、糖尿病や脂質異常症の改善にも効果があるとされています。
大量の飲酒は高血圧の原因でもあり、また、アルコール性心筋症や癌も多いことが報告されています。
少量の飲酒は死亡率を下げると言う報告もありますが、、実際には習慣的な飲酒者には高血圧が多いことが言われています。
推奨されるアルコール量は男性の場合日本酒1合、ビール中ビン1本、焼酎半合弱、ウイスキー水割りダブル1杯、ワイン2杯弱、女性はその半分くらいがよいとされています。
また、その発癌作用、動脈硬化促進作用、血管収縮作用のため、血圧上昇に加えて様々な直接的な害をもたらします。
できるだけ速やかな禁煙を心掛けましょう。現在、禁煙のための禁煙補助薬が効果を上げており、禁煙外来で保険治療の対象になります。
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